なぜ「末っ子」が成功するのか?

f:id:lc100068:20180306205232j:plain


僕は大学時代、民俗学という学問を専攻していました。一般的な民俗学というはいわゆる我々日本人が語り継いできた「物語」を研究する学問です。こうした研究を通じて「日本人とは何か?」考えていく学問なのですが、日本の民話の中のある型にこうゆうものがあるのです。それは、何かと言うと‥末っ子が成功者(長者)になるというもの。

 

なぜ「末っ子」が成功するのか?


実は、これは日本だけの話だけではなく世界の伝説や民話を調べても共通しているのが「末っ子」が成功するというストーリー。民俗学文化人類学ではこれを「末子英雄(成功)譚」と呼びます。(譚は、物語を真面目にした言い方ですね)


出雲大社の祭神である大国主という神様もまた末っ子だと言われています。いわゆる因幡の白ウサギの話などからわかりますよね。また、そもそも大国主はお兄さんたちからいじめられる(いじめるというか、殺しにかかられる笑)状態にあったりしたと言います。


また、日本各地に散らばる長者になった人や事業で成功した人はなぜか共通して「末っ子」なのです。世界で言えば、神様や英雄と呼ばれる人もまた「末っ子」が多いのです。なぜ日本人や世界の人にDNAように「物語(ストーリー)」には、「末っ子」が多いのでしょう?

 

「タワケ」の本当の意味


結局のところ、実はどの研究者も明確な答えを出せていません。しかし、僕の大学の先生の解説は秀逸だったのを覚えています。それは、現代でもバカモノを表す「タワケ」という言葉。


この「タワケ」という言葉を漢字で書くと「田分け」と書きます。当時の日本は農耕社会です。つまり、日本の80〜90%が農業をしていたのです。だからこそ(田んぼ)土地は彼らにとっての食い扶持でもあり、資産でした。


なので土地の継承方法において田分けを行うと子供の数に応じて、平等に分配していくことになります。ですが、「田分け」をずっとしていくと、理論上では、孫、ひ孫の代になるとそれぞれの持つ土地の面積(収入)が減ってしまいます。つまり、このような資産の継承方法だと、一族全てが滅んでしまいかねない、馬鹿げた方法であるから「田分け(タワケ)」なったと言われています。


なので、日本社会では末っ子は悲劇的な人生を歩みました。日本では、伝統的に家父長制(男が家の長であり、それを長男が家を継承していく)だったので、先生によれば、ごく最近まで「末っ子」生まれたがゆえに土地の隅っこだったり、長男に隷属する関係からのスタートでした。

 

苦労したからこそ「末っ子」は共感を集めるヒーローに


伝統的な日本は多生多死の人口構造でした。社会の教科書でよく見る(見たりするかな‥)ピラミッド型のチャートですね。ここからは僕の解釈なのですが、長男って人口の%的に考えると少数派に当たると思うのです。6人兄弟だったりすれば、長男は1人だけですよね。つまり大多数は長男ではないのです。つまりほとんどの人が生まれた時間の違いで格差があり、そのことに対して”鬱屈した不満”を抱えていたと思うのです。さらに社会一般の共通認識として「末っ子」は苦労人といったイメージがあったことでしょう。(末っ子は甘やかされてって言われてる現代とは乖離した考え方だったのでは‥)


だからこそ、「末っ子」が活躍する話は、多くの人に共感を得て、今日まで語り継がれているのだと思います。昨年に「保育園落ちた、うんたらかんたら」が流行りましたが、なぜあれが流行ったかというと多くの人が「待機児童」といった問題で鬱屈した不満を抱えた感情に共感したからに他なりませんよね?当時の昔話もまたツイッターで拡散したものが残ったものなのかもしれません。

 

ストーリーが人を動かす


このように優れたストーリーとはこのように人の脳裏に焼き付いて離れないものです。民俗学で得た見識はすごく現在の仕事に生かされいるなーと思います。なぜなら、これは長い歴史とあらゆる地域で(時間)が実証済みなのですから。現在しているコピーライティングにおいても「ストーリー」は、重要な位置を占めています。いかに優れたストーリーを作り出せるかによって相手の頭の中に描いてもらえるかどうかは相手に没頭してもらうかどうか非常に成果を分けるものだからです。


現在では、こうした優れたストーリーは手法として広く活用されています。ピクサースティーブン・スピルバーグなども「英雄の旅(ヒーローズ・ジャニー」と呼ばれる典型的な型を使っていることを明かしています。


しかし、最も多くの人を惹きつけるものは先ほど挙げたような「苦労人が成功する」といったサクセスストーリーなのだと思います。「先人は若い時の苦労は買ってでもせよ」という言葉にある通りやはり、苦労人の話は聞いていて惹かれるものがあります。ですが、ちゃんとうまくいったというオチがあってこそですが‥笑



PS
うん、苦労しよう‥笑 こんな話を書いてしまうと狙って苦労してるやんってなってしまいかねないですが‥そこはご愛嬌ということで笑